2013年08月24日

Ever17 雑感

名作と言われるアドベンチャーゲームのPSP移植版、Ever17 -the out of infinity- Premium Editionをプレイしました。
いつか、去年の今頃だったかのダウンロード版安売りセールの時に半ば衝動的に購入したのですが、似たようなタイトルのシリーズ作品が多くて迷いました。が、一つだけ評価が飛び抜けていたのでこれが当たりだろうと良く調べもせずに購入。
全体的な感想としては、お話の根幹となる仕掛けが意外で本当に面白かったです。以前に「ゲームでしか表現できない話」というレビューを見てある程度予想はしていたのですが、それ以上の物を見せられました。
これだけで全体的なテキストのくどさとか、ヒロイン達が余り気に入らなかったこととか、登場人物の行動の不可解さとかを補って余りある魅力になっています。いや、上記の理由で序盤はツラかったんですけどね……。

と言うわけで、続きはネタバレ込みの感想になります。上に書いたとおりシナリオ自体が最大の魅力であるこのゲームについてネタバレは致命的ですので、未プレイの人は絶対に読まないようお願い致します。


ゲームシステムは典型的なアドベンチャーなので、基本読み進むだけです。全てのCGは4:3で描かれているのでPSPの画面に映りきらないのですが、いつでも左スティックを動かして縦方向に画面を動かせるようですね。
プロローグが終わると、視点選択が出て主人公を「武」か「少年」のどちらかから選べる模様。とりあえずスタンダード風な武で開始。
お話は海中テーマパークで事故が発生し数人が取り残されるパニック物ですが、そんな状況で女の子とも仲良くしないといけないのがギャルゲーの辛いところです。ん? なんか間違っているような?
が、そのヒロイン達に余り好感が持てないのが難点。無愛想で非協力的な奴はまだしも馬鹿にするために必要な情報を隠す奴とかお前ら状況分かっとるのかと。
結局打つ手無しで救助を待つことになり、様々なトラブルに場当たり的に対処していくことになるのですが、もうちょっと脱出を真面目に考えろというのがプレイ中の正直な感想でした。いや、「色々意見を出し合ったが無理そうだった」と説明はされますが、もう少し描写があってもねぇ。例えば、内圧1気圧でも水圧に耐えられる中性浮力エレベーターとかクラゲゴンドラを使う手とか、失敗や議論の上での没でも良いから何か具体的な試行錯誤が欲しかったです。
その反面、物理現象や機械の説明やらの蘊蓄は嫌になるほどくどくどしています。前述の無愛想ちゃんも、天真爛漫なお子ちゃまキャラもここぞとばかりぺらぺら喋ります。アレか、この娘ら全員オタクか。

で、適当に進めると最後に殺人ウィルスにかかって全滅エンド。意味深な「生存者1」。
仕方が無いので2周目別キャラ狙いでまた同じバッドエンド。3周目、少年視点で始めてバッド、4周目、少年でなんとかグッドエンド達成。やはりエンディングはヒロイン毎に用意されているようです。また、周回プレイはシステム的に至れり尽くせりで非常に快適。
視点が違うと登場人物も異なり、また別ルートの話も少し臭わされることから、このあたりで並行世界モノで両方を認識するもう1人=プレイヤーが物語に登場する系のゲームなのかなと思い始めました。
その後、両視点で各ヒロインを攻略。特にグッドエンドのルートに入ると別ルートでの重要アイテム、キーワードなんかが出てくるので、グッドエンドが別キャラのルートをアンロックするのかなとも思ったのですが、4人クリアしたところで「ココ編解放」のメッセージが出たのでそんなことは無かったようです。単に私の進め方が下手だっただけか……。

そして最後のヒロイン、ココ編。キャラ的にはどうでも良い(ひどい)のですが、最終シナリオだけあって全ての謎が解けるルートです。これは面白かった。
致命的なネタバレになりますが、2人の主人公の世界は並行世界ではなく直列世界だったというのが一番の衝撃でしょうか。実は、未来の方のシナリオでは事故はドッキリだったのだ。登場人物も仕掛け人とグルかそっくりさん。これには少年も苦笑い。
プレイヤーキャラは画面に出ない=容姿が分からないという仕掛けや、異なる世界を観測できる存在=プレイヤーという位置づけは予想通りだったのですが、その上を行かれた気がしました。
そして観測ができるプレイヤーは事象に介在できる=過去を改変できる、ということで悲劇的展開を回避し、未来の世界にみんな集まってハッピーエンド。いや良いお話でした。


……うん、まぁいい話だったんですが、色々と言いたいところもあるのでこの先は突っ込みを。
シナリオに関しては上に書いたとおり大体納得したのですが、2〜3気になることも。
まず、プレイヤーが2つのシナリオを並行する事象と勘違いするというのは良いのですが、その下地ができた理由が「プレイヤーを騙すために用意した」というのがちょっと直接的過ぎて何かなぁと思いました。いや偶然できた系だとご都合過ぎと思われるでしょうから、この辺が妥当なのかも知れませんけどね。
それから、終盤プレイヤーの化身である第3視点君と仕掛け人は1つのハッピーエンドに向かって色々準備したり体(他人の)張ったりしますが、作中でも彼自身が語るように並行するヒロイン個別エンディングも存在している訳ですよね。つまり全員が助かる未来を作っても、助からない未来もまた変わらずあり続けると。
それでも彼としては助けられれば満足かも知れませんが、仕掛け人達にはこれに乗っかるのは分の悪い賭ような気がします。特に10代の2人がその後17年間をほぼこのためだけに費やすというのは。「失敗したらドッキリ終了して助けてやれ」なんて軽く言われても割り切れるモンでしょうかねぇ。
別のゲームの話になりますが、近年の大ヒット作シュタインズゲートでは世界線という概念で多少分岐しても未来が大きく収束するので、その大筋を変えるために頑張るというのは納得できたんですよね。
この作品の場合、等価な無数の未来のうち1つを救うのはそんなに意味のあることなのか……。もちろん、そのルートに入れた登場人物達はハッピーでしょうけど、第3視点君がそれで満足して良いんですかねぇ。彼自身が否定した、2017年中に解決してしまう方法とどう違うのか?

後は舞台であるLeMUについても色々疑問が。2017年の最新技術を駆使して作られた海中テーマパークですが、ランニングコストがかさむので赤字状態だったことが用語解説で明かされています。まぁ、その実体は更に海中の研究施設のカモフラージュと企業イメージアップのためだったそうなので良いのですが、それも作中で事故を起こし崩壊してしまうわけです。
にもかかわらず、翌2018年に再建ってどういうことよ? (オリジナル版エンディングムービーの年表より)
事故調査とか海関連団体の反対とか色々あるでしょうに。おまけにその頃から殺人ウィルスが流行り出す訳ですし。出所を隠蔽したいなら調査中とかで立ち入り禁止にするのがベターじゃ無いのか?
仮に世間がOKを出しても利益を出せないんじゃ株主が黙ってないでしょうし、海底研究施設が大事だったのかと思えば2034年になっても手つかずという矛盾があります。
その後、2034年の仕組まれた事故の際に営業していたかどうかは不明ですが、少なくともゲーム中では2017年そっくりの内装とアトラクションが用意されているわけです。人工人格の空さんなんてもう骨董技術ですよ。キャラも古くて受け入れられませんよ。ただでさえテーマパークの主要客だろう子連れ・カップルを率いる女性客には受けなさそうなデザインなのに。
まぁ、Back to 2017 的なイベント期間中だったとしたら納得ですが、そんな中崩壊事故を再現とか悪趣味にも程があるでしょう。もしくは最新のアトラクションは全て作中に出てこない第1層に集中しているとか……にしても苦しいよなぁ。


まぁ、こんな感じで色々思うことも残りましたが、良いゲームだったと思います。
ラベル:単発 PSP ADV
posted by ひろし at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲームプレイ記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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